「手足が冷たい」「靴下を履いても寒い」そんな冷え性の症状を、「体質だから」と諦めていませんか?実は、冷え性は単なる不快感だけでなく、放置することで体にさまざまな悪影響を及ぼすことが知られています。
疲れやすい、風邪をひきやすいといった軽い不調から、将来的には重大な病気につながる可能性も。特に、冷え性は女性に多い症状ですが、性別や年齢を問わず影響を与える「見えないリスク」が潜んでいます。
この記事では、管理栄養士の視点から冷え性を放置する危険性について徹底解説します。あなたの体が発する「冷え」というサインに気づき、早めの対策を始めましょう!
冷え性が引き起こす5つの危険な影響
冷え性は単なる「手足が冷たい」という症状にとどまらず、体全体にさまざまな悪影響を及ぼします。ここでは、冷え性を放置することで起こり得る5つの危険性について解説します。
血行不良による慢性的な疲労感

冷え性の主な原因である血行不良は、体全体に十分な酸素や栄養を届けられなくなることで慢性的な疲労感を引き起こします。特に筋肉や脳が酸素不足になると、疲れやダルさが取れず、日常生活にも支障をきたすことがあります。
疲れやダルさが取れない日々が続いたことはありませんか?

実は血液の循環が悪くなって引き起こした冷え性が原因かもしれません!
血管は寒さを感じると収縮します。寒いと「サムっ」と体も縮こまりますよね。
冷え性の方はこの状態が長期間続き、血液循環が悪化。結果として、体内の老廃物が排出されにくくなり、疲れが蓄積しやすくなるのです。
例えば、冷え性を抱える方の中には「夜ぐっすり眠れない」「朝起きたときに疲れが取れていない」と感じる人が多くいます。これは血液循環が悪化していることで、睡眠で本来休まる身体が休まっていない可能性があります。
また、放置すると筋肉や臓器の働きも鈍り、代謝が落ちて太りやすくなったり、体力が低下する悪循環に陥ることも。これが疲労感だけでなく、さまざまな体調不良を引き起こす原因になるのです。
免疫力低下による感染症リスクの増加

体温が1度下がると免疫力が約30%低下すると言われています。

あまりイメージできないかもしれませんが30%ですよ?けっこう大きくないですか?
冷え性の方は、体温が常に低めの状態が続くことで、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
免疫細胞である白血球は、体温が高い状態の方が活発に働きます。しかし、体温が低いと、白血球の働きが鈍り、ウイルスや細菌に対する抵抗力が弱くなってしまうのです。
「毎年何回か風邪を引く」と感じる方、その原因は冷え性にあるかもしれません。特に冬場、冷えがひどいと体温がさらに下がり、免疫力が著しく低下します。
結果として、風邪が長引いたり、治りにくくなることも。
対策としては、毎晩しっかり湯船に浸かる、適度な運動をして筋肉量を増やすなど、「基礎体温」を上げることを意識してみましょう。
生活習慣病リスクの増加

冷え性を放置すると、生活習慣病のリスクも高まります。体温が低い状態が続くことで、基礎代謝が低下し、結果として肥満や糖尿病などを引き起こす可能性があるのです。
冷え性の方は、血流が悪化することで代謝が低下し、エネルギー消費が少なくなります。その状態が長く続くと、体内に余分な脂肪が蓄積されやすくなるのです。
例えば、「冷え性で太りやすい」と感じる方がいますが、これは体温が低いことで脂肪が燃えにくいから。さらに、血流が悪いと糖分や脂質の代謝も滞り、結果として肥満や高血圧のリスクが高まります。
改善の第一歩は、日常的に体を温めて代謝を上げること。温かいスープを食事に取り入れたり、軽い運動で血流を促進する習慣をつけてみてください。体温が1度上がるだけで、代謝が10%以上改善するとも言われています。
精神的な影響

冷え性が続くと、体だけでなく心にも影響を及ぼします。慢性的に冷えた体は、自律神経のバランスを崩しやすくなり、精神的な不調を引き起こすことがあるのです。
自律神経は体温調節に関与しており、冷えが続くと交感神経と副交感神経のバランスが乱れます。この乱れが、不安感やイライラ、さらには気分の落ち込みにつながるのです。
「なんだか最近、気持ちが沈むことが多い」「イライラしやすくなった」と感じたら、冷え性が原因の可能性も。特に冬場、体が冷えていると交感神経が過剰に働き、リラックスしにくくなります。その結果、心の安定を保つのが難しくなるのです。
手足が冷たいとなかなか集中もできないですよね。
そんなときは、体を温めて自律神経を整える生活を心がけましょう。リラックス効果のあるアロマを使った入浴や、ゆっくりとした深呼吸を取り入れるだけでも、心の負担が軽減されますよ。
ホルモンバランスの乱れによる女性特有の悩み

冷え性による血行不良は、体内のホルモンバランスにも影響を及ぼします。特に女性の場合、冷えが原因で以下のようなトラブルを引き起こすことがあります。
- 月経不順や生理痛の悪化
- 妊活への影響
- 更年期障害の症状が重くなる可能性
女性の体は、子宮や卵巣を守るために中心部を優先的に温めようとします。しかし、冷え性によって血流が滞ると、これらの臓器に十分な栄養や酸素が届かなくなり、ホルモンバランスが崩れるのです。
例えば、生理痛がひどいと悩んでいる女性の中には、冷え性が原因のケースが少なくありません。子宮が冷えて血流が悪くなることで、必要な酸素や栄養が届かず、生理時の収縮が強まるためです。
また、冷えが卵巣機能を低下させ、排卵がスムーズに行われなくなることも。
こうした症状を軽減するためには、体全体を温めることが大切です。日々の生活で温かい飲み物を取り入れたり、お腹周りを温める習慣を作ることから始めてみましょう。
冷え性になる7つの原因

そもそもなぜ冷え性になると思いますか?
冷え性になる原因については以下のような要因が考えられますが、それぞれが複雑に絡み合い、人によって原因は異なります。
血行不良
冷え性の最も一般的な原因は、血流の悪化。血液は体温を維持するために重要な役割を果たしており、血液循環が滞ると体の末端(手足など)に十分な熱が届けられなくなります。
原因例

自律神経の乱れ
体温調節を司る自律神経が乱れると、血管の収縮や拡張が正常に行われず、冷え性を引き起こします。特に、ストレスや不規則な生活が自律神経のバランスを崩す主な原因とされています。
原因例

ホルモンバランスの変化
女性に冷え性が多いのは、ホルモンバランスの影響も一因です。特に、妊娠や月経、更年期などでホルモンが変動すると、体温調節機能が乱れやすくなります。
栄養不足や食生活の乱れ
体を温めるためにはエネルギーが必要ですが、栄養が不足しているとそのエネルギーを十分に作ることができません。特に鉄分やタンパク質、ビタミンB群の不足が冷え性を悪化させると言われています。
原因例

筋肉量の低下
筋肉は体を温める「発熱工場」とも呼ばれる重要な存在です。筋肉量が少ないと熱を生み出す能力が低下し、冷え性になりやすくなります。
原因例

遺伝的要素
冷え性は体質的な側面もあります。遺伝的に血管が細い人や体脂肪が少ない人は、冷え性になりやすい傾向があります。
環境要因
エアコンの使い過ぎや季節による気温変化も冷え性の原因になります。特に、夏場の冷房による「夏の冷え性」が近年増加しています。
冷え性は原因と結果が循環
ご覧いただいた通り、血行不良が原因で冷え性になることもあるし、冷え性で血行不良になることもあります。ホルモンバランスが変化して冷え性になることもあるし、冷え性でホルモンバランスが変化することもあります。
つまり、冷え性は原因と結果が循環していることが言えます。
冷え性は一つの原因だけでなく、複数の要因が絡み合っていることが多いため、改善には生活習慣全体を見直すことが大切ということ。
今回の危険性を知ると、やっぱり「対策しなきゃ」と思いますよね。次の記事では、具体的な冷え性対策やおすすめの食材を詳しくご紹介します。
冷え性を改善することで、健康だけでなく心の安定も取り戻せます。できることから一つずつ始めてみましょう。